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コスメ感覚 ポーチに収納 携帯用電動歯ブラシ「ポケットドルツ」

パナソニックの携帯用電動歯ブラシ「ポケットドルツ」が人気を集めている。ランチの後に歯磨きをする女性は多いが、主流はあくまでも手磨き。電動のドルツが市場をこじあけることができたヒミツは、マスカラのようなおしゃれなデザインや、小さなポーチに収納できるコンパクトさにあった。

 「どうして昼食後の歯磨きに、電動歯ブラシを使わないんだろう」

 パナソニックでオーラル商品を担当する石橋絵里さんは入社まもない平成20年春、こんな疑問を抱いた。ランチ後に女子トイレで歯磨きをする人はたくさんいたが、電動歯ブラシを使う人は見かけたことがなかった。

 右肩上がりで成長していた電動歯ブラシ市場は、需要の一巡もあってここ数年は年間約220万本と頭打ちの状態が続いていた。市場を拡大するには、新規ユーザーの獲得が最重要課題だ。

 「なんとかこの状況を打開したい」。オーラル商品のマーケティングを担当する久保清英さんらがターゲットに据えたのがこの「OLのランチ磨き」だった。女性の身だしなみとして、食後の化粧直しとともに、歯磨きはもはや定番。ただ、女性を意識した携帯用電動歯ブラシはまだなかった。

 「女性が持ち歩きたくなる電動ハブラシ」。こんなコンセプトを掲げ、商品企画がスタートしたのは21年春。最初に手がけたのは、働く女性の昼食後の行動を調べることだった。女性の多くは小さなポーチを抱えて女子トイレに向かう。このことから「ポーチに収まるサイズが絶対条件になった」(久保さん)。

 社内の女性社員のポーチをかき集め、どの程度の大きさかを検討した結果、マスカラより少し大きめのサイズなら「ポーチ内でも違和感がない」との結論を導き出した。

 グループのパナソニック電工で開発に携わった北村嘉宏さんは、マスカラサイズと聞いたとき、「とても電動歯ブラシにならないんじゃないかと思った」と打ち明ける。

 コンパクトにするには内蔵モーターを小さくする必要があり、小さくなる分、振動で毛先を動かす性能に制限が生じてしまう。

 このため、小型モーターの組み込む位置を、従来商品よりもブラシの近くに変えるなどして歯磨き性能を確保。外出先での歯磨きに必要とされる「手磨きより歯がつるつるになるレベル」(パナソニック電工の北村さん)を実現した。

 課題は大きさだけではなかった。

 自宅とは異なり、職場のトイレなどで使う際には周りにたくさんの人がいる。モーター音が大きいと周りの目を気にして使ってもらえない。振動数の異なるモーターを組み込んだ試作品を作り続け、ようやく耳障りにならない仕様を見つけ出した。

 本体のカラーにも紆余(うよ)曲折があった。

 最初に決まったのは無難な黒とシルバー。しかしマーケティング担当の久保さんは、「これだけでは売り場で目を引けない」とカラーの追加を訴えた。ただ、色を増やすと在庫が積み上がるリスクが増す。


 工場からは「本気でやるのか」との声も上がった。だが、「挑戦しないと、需要は広がらない」と提案を押し通した。

 「なにこれ! 欲しい!」

 試作品を見た社内の女性社員は一様に目をまん丸くし、手を伸ばした。目にした女性のテンションの上昇ぶりに久保さんも「これはいける」と確信した。

 年間50万本の販売目標を掲げて昨年4月に発売したが、この目標はわずか3カ月間でクリアし、電動歯ブラシとして爆発的なヒットとなった。ポケットドルツの登場で電動歯ブラシ市場全体も拡大し、今年3月末までの1年間の市場規模は、前年の規模から一気に7割増えて約370万台に達する見通しだという。

 久保さんは最近、知り合いの歯科医師から、「ポケットドルツは“昼磨き”に大きく貢献してくれた」と褒められた。電動のポケットドルツは、昼磨き習慣の伝道師としての役割も担いつつある。(松田麻希)

【用語解説】ポケットドルツ

 パナソニックが平成22年4月に発売した携帯用電動歯ブラシ。「OLのランチ歯磨き」をコンセプトに、外出先での歯磨き用として開発された。長さ16センチ、直径2センチのコンパクトサイズで、外観はコスメ商品や新種の文房具のような洗練されたデザインを採用した。

 オフィスの化粧室など公共の場でも周りの目を気にせずに使えるようにモーター音も抑えた。11日には、本体をさらにスリム化した新製品を発売する。ピンクやバイオレットのグラデーションカラー7色もそろえる。

 これまで電動歯ブラシと接点がなかったユーザーを開拓し、販売台数は今年1月末で150万台を突破した。価格はオープンで、店頭価格は4千円前後。
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